思索と妄想

石井和沙(いしいかずさ)/イサイシズカの雑記

機本伸司『恋するタイムマシン』読了

天才美少女理論物理学者・穂瑞沙羅華の科学冒険譚の続編。
上記の説明で既になんか、日本の若者にはおなじみのアレなわけで。SF好きが興味を引きそうな題材を持ってくるのが上手くて、かつ前半部分の話のまわし方は非常に魅力的だとは思うのだけど、毎回ネタが尻切れトンボみたいになって中途半端なところで終わって「騙された!もういいや!」となる。シリーズの最初の頃は科学ネタ中心で回していたのに、最近はもうその辺すら適当になってきていて困惑する。アスペルガーとは作中では言ってないけどどうみてもアスペルガーくさいヒロインが人間関係で悩むだけの話になりつつある。

でも、いつかこの、アレなヒロインが真人間になる日がくるかも…という淡い期待を捨てきれずについつい買い続けている。

遂に、あとがきの解説文ですら言及されていたけど、この作者さんの物語は非シリーズモノにも共通して、主人公格のキャラクターがほぼ全員アスペルガーくさい。他人の迷惑顧みず、目的のために手段を選ばず、危ない人間ばかり。だからどの作品でも登場人物にまったく共感ができずイライラしながら読み続けている。なんでそんなの読み続けてるのと言われたら、どうのこうの言ってポテンシャルはあると思ってるから。

いつか何かの拍子に、この作者さんがもっと人間を好きになってヒューマニズムにあふれた爽やかなドラマを描けるようになって、科学ネタのほうも最後まで投げ出さずにプロットを組み立てて綺麗に風呂敷を畳めるようになったら、きっとすごいSFの傑作ができるんじゃないかという望みを抱いて読み続けている。ただ、今回はそうはならず、いつもと同じだった。

「また騙された!」と思いつつ、たぶん続編でたら読む。